笠原昭県官公需適格組合連絡協議会長に聞く

【プロフィール】
 笠原  昭(かさはら・あきら)
会津若松市出身、平成20年から会津管工事協同組合理事長、26年から県官公需適格組合連絡協議会長、八ッ橋設備会長、73歳。

 東日本大震災から間もなく丸4年となり、社会インフラの復旧整備も着実に進んでいる。今年は復興の序章から新たなステージを迎えるが、いつ起こるとも分からない大規模自然災害に備えた防災・減災体制の構築も急務だ。県民の安全・安心確保のため行政に対して官公需適格組合の活用を訴える笠原昭連絡協議会長に課題や展望などを聞いた。

◎県内に18の適格組合
 ―官公需適格組合連絡協議会とは。
 笠原会長 まず官公需適格組合とは、中小企業組合の中で、官公需の受注に対して特に意欲的であり、かつ受注した契約は責任を持って履行できる体制が整備されている組合であることを中小企業庁が証明した組合で現在、県内には18の官公需的確組合があります。
 適格組合は「物品・役務」と「工事関係」に分類された許可制度の取得義務があります。発注機関の信頼に応えるため、納入する物品などの検査体制を確立しているほか、万が一事故が起こった場合でも組合役員が連帯して補償する体制も整えられています。明確な責任体制に裏付けられ、卓越した品質管理機能を有した完全な共同企業体といえます。
 国も官公需法第3条において「国などが契約を締結するに当たっては、予算の適正な使用に留意しつつ、中小企業者の受注機会の増大を図るよう努めなければならない。この場合においては、組合を国などの契約の相手方として配慮しなければならない」と定めていますが、末端の発注機関まで国の施策が伝わっていないことが現状です。各発注期間に対する陳情や適格組合同士の情報連絡、教育情報事業などを実施し、官公需発注事業量の確保並びに各組合の受注体制の整備を図るための組織が連絡協議会です。
◎若松方式で全国表彰
 ― 昨年、会津管工事協同組合が中小企業団体全国大会で表彰された。
 会長 ありがとうございます。昨年10月に優良組合として表彰を受けました。水道事業の民間委託で地元企業の参入の機会を与える「会津若松方式」が全国的に注目され、さらに東日本大震災における県内各地での災害復旧支援活動が評価されました。何はともあれ、協同組合という団体で受賞できたことがうれしい。例えば、個人とか一企業とかの問題ではなく「多くの企業の集合体である協同組合は何のために存在しているのか」というテーマに沿った意義ある表彰と考えています。
◎団体の有効活用
 ― 官民の信頼関係が大切。
 会長 官に与えられている特権は「官から発注される際の公金有効利用」であり、市民に還元されなければならないし、その効果が絶大であればあるほど上手な公金の使い方であると言えるのではないでしょうか。
 会津管工事協同組合はその歴史の中で「市民サービスの面で欠くことのできない水事業の仕事において我々団体を有効活用」していただけるよう会津若松市にお願いしてまいりました。その理解は昭和55年に市営住宅の水管理を全面的にお任せいただき、今日に至っております。また、その契約については適正に計算された官の積算による随意契約により毎年更新され、精度においては毎年磨きがかかっているものと自負しております。
 今回の東日本大震災においても、官の発注が間違っていなかったと言えるくらいの「スピーディーな対応」が評価されました。お互いの信頼の上に立ってこそ「いざ本番」という局面において、その成果が最大限に発揮されるものと思います。震災時に地下埋設されている水道管の破損復旧や市小・中学校の設備破損に対しての復旧作業においても多大な貢献があったとの評価を市からいただきました。
 有事の際にスムーズに対処できるシステムは日ごろの発注にかかっていると言っても過言ではないと思います。「災害は起こりうる事実」と捉えることがこの時代の官の役割ではないでしょうか。
 そう考えた場合、さまざまな用途の発注の中で、一工夫も二工夫も考えられるものと思います。競争性が必要な案件、信頼と目的が必要な案件など、種々の検討を重ねて、有事の際の団体活動に活かされれば無駄な公金の使い方ではなく、新たな取り組みとして県民に理解されるものと思います。会津若松市は「水道事業の第三者委託」という選択をいち早く行い、地元企業が大いに活躍できるシステムの発注方式を執り5年目に入っています。年間1億5000万円もの節約と併せて考えても、「官民の融合と理解は、今後の地方創生の核になるもの」と思える受賞であったと思います。