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2017.09.08

産学官連携シンポジウム/建設業の役割「見える化」を

県主催の県建設業産学官連携シンポジウムが5日、郡山市の日本大学工学部で開かれ、建設業や学界、県職員など約170人が参加し、建設業を取り巻く環境の変化や今後の課題、施策などに関する知識を共有し、建設業の今後の方向性について考えた。
大河原聡県土木部長が「東日本大震災から6年6カ月。復旧・復興が着実に進む中、公共投資の減少や少子高齢化などの社会情勢の変化で建設業を取り巻く環境は厳しさを増している。ふくしま建設業振興プランに基づき、産官学が連携し、課題解決に取り組んでいく」とあいさつした。
県建設業審議会で会長を務めた中村晋日本大学工学部土木工学科教授が「県の建設業が果たすべき役割と課題、その対策」と題して基調講演。本県建設業をめぐる環境変化を説明し、震災復興後の課題やインフラ施設の老朽化の現状などを説いた。災害復旧や社会状況に合わせたインフラ整備など建設業の果たすべき役割についても述べた。
県の防災・保全のための技術者育成に向けた、ふくしまインフラメンテナンス技術者育成協議会と、産官学連携コンソーシアムが策定を進める技術者育成課程も紹介。「建設業の役割を『見える化』し、小・中・高生や大学生に魅力を発信し、目標となる産業にしなくてならない」と前置きし、「そのために各機関が実行していることを共有、検証し、発展していくことが必要」と産官学の連携の重要さを強調した。
パネルディスカッションは、担い手確保や建設業の「見える化」、産官学連携の役割などを議題に、大河原部長、小野利廣県建設産業団体連合会長、小松由美福島学院大学学長がそれぞれの立場から意見交換した。
担い手確保では大河原部長が、高度成長期に建設されたインフラの老朽化が顕著なことから、技術者の育成は喫緊の課題だとし、専門技術者育成プログラム作成と県独自の資格制度の策定を推進する考えを示した。小野会長は専門工事業の離職率の高さと、キャリアパスに悩んで離職を決断する者が多いという建設業の現状を述べ、県の専門技術者育成のプログラム作成や資格制度の創設が、人材育成の好機になると期待感を示した。
小松学長は、学生が在学期間中に建設業のキャリアパスを思い描くことの難しさを述べ、叱られ慣れていない若者の現状から、就業してからのケアが重要だと説明した。また適度な課題の設定も必要と提案した。
建設業の「見える化」に関しては、大河原部長が、小学生を対象にした工事現場公開で、完成へのプロセスやスケール感を体験させる案を提示。小野会長はポータルサイトやSNSといったWEB媒体の活用、新入社員合同研修会の拡充などを提案した。


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