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2017.02.13

木の全面的活用がカギ/森林資源活用でシンポジウム/会津The13

会津の森林資源活用実現を目指す会津「The13」事業協議会(理事長=唐橋幸市郎会津喜多方商工会議所会頭)は8日、会津若松市の会津大学で会津創生シンポジウム‌=写真=​を開いた。
森林資源活用をテーマとしたパネル討論では、パネリストを務めた日本CLT協会長の中島浩一郎銘建工業社長が「木をCLTの材、熱利用など全量的に使う手法でないと森林活用はうまくいかない」と述べ、「端材を使ったバイオマス発電が地域のエンジンとして回り出している」と同社がある真庭市(岡山県)の例を紹介した。
同協議会副理事長で内閣府地域活性化伝道師の菅家洋一会津土建社長は、会津地方での森林活用の実現について「若い人で山仕事に興味を持つ人が出ていて『これはいける。やるんだ』という気持ちだ。会津の場合、地域のエンジンは木を切る若者たち」と訴えた。さらにCLTやバイオマスに活用するためには「木材量が年間約25万立方㍍必要。13自治体でスタートしなければ実現できない」とし、会津13市町村で策定中の分散型エネルギーインフラプロジェクトマスタープランの必要性に理解を求めた。
有馬孝禮東京大学名誉教授は「原始的だが『なんとなくいい』といったものも大切。科学的根拠も必要だが、こうした人の感性に訴える要素も実は重要」とした。
末松広行経済産業省産業技術環境局長は「会津は昔から林業が営まれ、木材資源が充実しており、木材、熱利用の各分野で可能性がある地域」と評価し、会津「THE13」の活動を支援する考えを示した。
オーストリア大使館商務部のルイジ・フィノキアーロ上席商務官は「大切なのは人材育成。伐採搬出などの技術についても、先進的なオーストリアとの交流を勧めたい」とアドバイスした。
桜井泰典県企画調整部政策監・企画推進室長は「森林資源の循環が実現すれば国内のモデルにもなる。非常に重要なプロジェクト」と述べた。
会場で聴講した林業の女性からは「林業に携わることで達成感があり、単純に仕事自体がカッコイイです」との声が聞かれた。
パネル討論に先立ち、三菱総合研究所理事長の小宮山宏プラチナ構想ネットワーク会長が「プラチナ社会での森林資源フル活用」と題して記念講演。「キーワードは自立。エネルギー消費量が減っている中、家庭でもゼロエネルギー住宅などが普及、再生可能エネルギーも導入初期に比べ格段に安価になっている。持続性があり雇用も生まれる森林資源活用をぜひ実現してほしい」と、協議会の取り組みを強力に後押しした。
シンポジウムは、行政、建設業、林業、商工関係者ら当初の予定を上回る460人が参加。唐橋理事長、室井照平会津若松市長があいさつし、事業化へ期待を込めた。


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