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2017.02.17

ふくしま建築住宅センター/他業種連携で取組を/県北方部向け 地域住宅セミナー開催

ふくしま建築住宅センター(佐々木孝男理事長)は15日、福島市の杉妻会館でふくしま地域住宅セミナー‌=写真=​を開いた。復興公営住宅や応急仮設住宅整備に携わった工務店、設計事務所をはじめ関係団体など約50人が国・県の29年度予算案に盛り込まれた重点施策や近年の住宅動向等を聴講した。県、福島建設工業新聞の後援。
佐々木理事長が、震災後の県の取り組みを通し、地域住宅産業の連携を訴えた。応急仮設住宅や復興公営住宅整備で、本県では地元工務店等の連携によりさまざまなタイプを提供。特に買取型公住整備では民間住宅を主に扱ってきた工務店が、公営住宅整備に携わることで建設性能評価、瑕疵保険、工程管理、工期短縮など実体験しており、これらを民間市場に生かしてほしいと話した。
今後の住宅市場について、着工数が2030年には現在の約6割となる一方、2020年ごろには一般住宅にも省エネ化が義務化される見通しであり、戸建住宅市場の4割を占める大工・工務店に対し早期取組の必要を訴えたほか、大手ビルダーとは一線を画した住まい作りの対応を求めた。
相澤隆本社代表取締役社長は「県内民間住宅の建設動向」について、震災前と現況を比較しながら説明した。
現在、戸建住宅施工の県内外比は県内4に対し県外6。会津が県内7割と底上げしているのが実情。相双、いわきは震災前に県内シェアが6割以上だったが、震災後は4割程度にダウンしており、急激な工事量の増加で対応仕切れなかったことや、顧客住宅の修理などに追われ新築に手が回らない状況が続いたためではないかと推察した。
阪神・淡路大震災後も、大手がシェアを伸ばし、住宅新築が落ち着いても地元占有率は回復しなかった経験を踏まえ、31年10月の税率アップに対する駆け込み需要を境に、住宅新築は激減するという見方から「地元工務店は住まいの町医者で維持・修繕には地元工務店の力が不可欠。大手のようなワンストップ営業は難しいが、多業種連携や共同購入など顧客ニーズに合わせた取り組みを準備すべき」とした。
但野廣県建築士事務所協会専務理事は、地域型復興住宅の取り組みと、木造住宅生産体制に関するアンケート調査結果を報告した。住宅単価は震災前に比べ2割増となっており、内陸部は落ち着いているものの、沿岸部は高止まりからさらに上昇したことを示した。契約から引渡しまでは9・7カ月と、この数年横ばい傾向のようだ。
センターの野内忠宏専務理事は、近年の新設住宅着工戸数、センターでの取り扱い件数の傾向を示した上で「応急仮設住宅入居中の世帯は多く、本県の復興はまだ時間が必要。特に原発避難者の復興はこれからもピークが続く」「これまで価格高騰や用地不足で住宅を取得できなかった若年世代の需要が起こる可能性がある」と説明。
消費者は「省エネや質の良さ、価格に非常に敏感であり、既に大手は長期優良住宅、住宅性能評価、ZEH住宅を標準仕様とし、営業ツールとして活用している」としたほか、「復興需要は将来需要の先食いであり、今からその備えが必要」と話した。吉田寿雄理事は住宅にかかわる国の各種制度を説明した。
県からは昨年策定した県住生活基本計画が説明された。
住生活基本計画は28~37年度の10年間を計画期間とした住宅に関するマスタープランの位置付け。復興・再生、災害に強い居住環境、ふくしま型住まいづくり、子育て居住環境、高齢者自立居住環境の5重点項目を設定し、地域創生の観点も加えたほか、空き家有効活用を新規に設定している。公営住宅については従来のような建設戸数ではなく、空き家も含めた供給量を示している。
今回のセミナーは県北方部が対象で、20日はいわき方部(いわきワシントンホテル椿山荘)、23日には郡山方部(郡山ビューホテル本館)で開かれる。


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